『ハツカネズミの時間』最終回
今日発売のアフタヌーンで『ハツカネズミの時間』最終回を迎えた。
作品全般に関してはまた単行本が出てから書くとして、今回は最終回について。
普通にネタバレを含みます。ご注意を。
まずは、終わったか~、て感じ。
っていうのも未完の作品が異常に多いことで冬目景氏は有名なのだから。。
何ってたって『ハツカネズミの時間』が完結しても
『イエスタデイをうたって』(ビジネスジャンプ)
『黒鉄』(モーニング)
『ACONY』(アフタヌーン)
『LUNO』(少年ガンガン)
『幻影博覧会』(バーズ)
『ももんち』(スピリッツ)
の5作品が未完のまま一時休止ないし何年単位で停止中という状態。
デビューから15年くらいは経ってるはずなのに複数巻にまたがって連載して完結したのは『羊のうた』のみという徹底ぶり。
ちなみに遅筆と言われることもあるけど、それは正確じゃないよ。基本的にどれかの雑誌に毎月作品は掲載されているからね。連載がばらけるから単行本の出版に時間がかかるだけ。
だから完結しただけで既に驚き。
さて、最終回の中身について。
一応伏線の回収は終わったと見て問題ないと思う。
学校の閉鎖が決定して、槙は桐子と暮らした町に一人で戻ってきた。
桐子が働いていた店でバイトをして生活していた槙のもとに自殺騒動を起こしていた棗が訪ねてくる。全てを思い出した棗に槙は棗と分かれてからのことを語る。
回想の最後、椋と茗は他校への進学を決めたことが明かされる。
作られた日常を懐かしいと思いながらも、二人は「現実」を生きていく。
そして一人で住む部屋に帰ってきた槙は桐子との別れを思い出す。
桐子は梛と残された時間を過ごす道を選んだ。12年前の桐子のように槙は一緒に行こうと誘うが、桐子の心は変わらない。桐子は梛の「家族」として傍らにいることを決心していた。
さよならは言わずに槙と桐子は別れた。
再び一人の部屋。するとノックが…。
扉を開くと、そこには桐子ではなくすっかり打ち解けた金井と三夜が遊びに来ていた。(了)
まぁざっとこんな感じ。
なかなか良い終わり方だったけど、果たして作者の予定通りだったのかは不明。
先々月号は普通に掲載して、休載だった先月号に突然最終回の予告が出たのがまずひっかかるんだよ。
打ち切られるほど人気もなくはなかったはずだし、打ち切りではないと思う。
ただ先々月号の終わり方だと最終話は近いかな、とは感じたけど、まさか次で終わらせるとは思わなんだ。
正直、棗や木綿子のエピソードにもうちょっと時間使って欲しいと思うところもあるし。
まぁでもさすがに桐子と槙の別れのところは上手い。
グダグタ続けるよりは一気に飛ばした方が面白い。思えば『羊のうた』も最終回で結構とばしたよね。ちょうどあんな感じ。
桐子と槙は再会することはあるのかなぁ。さよならは言わなかったけど、もう会うことはないんじゃないだろうか。
もし最後のコマが部屋がノックされたところで終わってたら、再会を期待できたのに!
普通に開けると、金井と三夜。明るい雰囲気で終わってるけど、ちょっと寂しい。周りに適合して、色んなことを経験するうちに槙にとって学園も桐子も遠い思い出になってしまいそうで。
伏線は回収したけど、全てのキャラクターのそれからの明確な未来を作者は提示しなかった。
もしかしたら梛は桐子のために闘病生活に入るかもしれない。そうすれば奇跡だって起きるのかもしれない。
全ては読者の想像に任せられたんだねぇ。
なかなか余韻のあるラストだった。
不満は、『ACONY』の連載再開を匂わせただけで、具体的な予定を出してくれなかったこと。
今年中に1巻出ると良いんだけど~。