読み手を選ばない“メイド喫茶”マンガ

『それでも町は廻っている』(4)

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これまた大好きなマンガについて。

通称『それ町』はヤングキングアワーズで連載中の石黒正数の作品。19日に4巻が発売された。

流行に乗って突如メイド喫茶になった喫茶店「シーサイド」でバイトする嵐山歩鳥と町の人々や学校の友人たちの日常を描くコメディー。

絵的にも内容的にも極めて明快で、誰でも楽しめるマンガだと思う。

ただ作品自体には明確なテーマがあり、各巻のあとがきで作者の短い解説がついている。
ちなみに4巻のテーマは「日常を保つ」。

そもそも作品のタイトルは2巻に収録された連作から来てるもののはずだけど、その内容が車に轢かれて歩鳥が死後の世界へ行ってしまうというもの(結局は生き返るが)。
それでも町は廻っている
決して単純なコメディーじゃないんだよね。

かといって複雑かつ重たい話では全くもって無いんだけど。

このマンガを「深い」というのは安直すぎる気が。

総合文芸誌ダ・ヴィンチに『よつばと!』を読んで泣く人がいるとか書いてあったはずだけど、その感覚に近いものがあるんだと思う。


まぁ4巻収録の「一パイのミシンそば」とかは分かりやすく泣ける話なんだけど、それだけじゃなくて。
例えば2巻の「ナイトウォーカー」は夜の町を歩鳥が弟・タケルと徘徊するだけの話。ただその姉弟の仲の良さみたいなモノが、何かジンワリと来るんだよね。
なんだろう?過ぎ去った日々みたいな?いや違うか。

文化庁メディア芸術祭の推薦作品としてインタビューで石黒氏は「何度でも読めるように意識的に嫌な人間を描かないようにしている」と語っている。
うん、確かになかなかに気持ちの良い作品だと思う。


作中に張り巡らされた小ネタも魅力の一つ。小物や人物に色々と遊びの要素が入っているのが面白い☆。

e0128729_0484468.jpgちなみに同時に徳間書店から『ネムルバカ』が同時発売。こちらは『それ町』とは違ってコメディー要素がかなり抑えられた作品。
どこに向かうか分からない不安の中に暮らす大学生の先輩・後輩のお話。
この二人は『それ町』のキャラの紺双葉と歩鳥と姿が似ていてちょっとしたパラレルワールドが構成されている。(ついでに後輩の名前はイリス ユミでアラシヤマを一音づつずらしたもの)
こちらもおススメ☆。

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by dentaku_no_uta | 2008-03-20 00:44 | マンガ