『からん』(1)/木村紺

アフタヌーン
既刊1巻


女子柔道モノです。


木村紺というマンガ家、得体が知れない…。

デビュー作は『神戸在住』(アフタヌーン、全10巻)であるが、この作品では引越し先の神戸で大学生活を送る女子学生の生活を、大震災からの復興の様子を絡めて描かれている。

『神戸在住』の大きな特徴として、絵日記のようなシンプルな絵柄(実はかなり技巧的だが)で、等身大の人物の生活を丹念に表現されていることがあげられる。

膨大な数に上る登場人物、ストーリ性が無いようでよく練られた物語…、フィクションであることが信じられないようなリアルな演出が素晴らしい作品である。


…が!


e0128729_2347172.jpg『神戸在住』の連載中に連載が始まった『巨娘』(既刊1巻、11月7日発売のアフタヌーン増刊より復活予定)という作品。

なんとこちらは180センチoverの“巨娘”ジョーさんを主人公にしたギャグマンガ。

スクリーントーンの使用が見られるくらいで絵柄はあまり変わらないが、ぶっ飛んだキャラクターがわんさか出てくるハイなマンガである。



そして

現在連載中の『からん』は学園スポーツモノである。

立体感のある絵柄と動きのあるコマ割に一気に変更。


作風変わりすぎ!


幅広く色んなジャンルのマンガを描く人は結構いるが、ここまで作風が毎回変わるのはもはや異常!
一体、木村紺の核はどこにあるのか。

そして、何より凄いのが、ここまで大幅な作風の転換がありながら『からん』がメチャメチャ面白いことである


今現在、最も熱中している作品の一つ。


連載開始前の導入の部分で既にかなりの数の登場人物が出てきているが、ここら辺に『神戸在住』で培ったキャラの使い方のノウハウが活きてきそうだ。

導入の0章で出てきた人物に未だ10人も本編未登場のキャラクターがいる。(ちなみに0章で登場して、いままで出てきたキャラクターは12人、他主人公である高瀬雅及び九条京のクラスメートが1巻収録分に数名登場…やはり多い)
これから随分物語が進まないと出てこないのではないかと推測される人物も複数名存在し、これからどう進展していくのか気になるところである。


そして何よりも、『からん』の何よりの魅力は木村紺の織り成す天才的なストーリーテリングである。

中学生の44kg以下級で京都2位の実力を持つ高瀬雅は、弱小ながら主将を高校48kg以下級で全国大会優勝候補の大石萌が務めるお嬢様学校・望月女学院に進学する。
クラスメートの小柄な美少女・九条京を初めてみた時に、高瀬は自分と九条が夏に野原で向かい合ってる謎のヴィジョンを観る。
柔道部に参加するにあたって、高瀬は何故か気になる九条と、他二人のクラスメートを勧誘して連れて行くことに。

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常に嫉妬されながら生活してきた過去からなのか、高一にして巧みな世渡りの術を持つ高瀬とどこか不思議な雰囲気を持つ小柄な少女、九条。

まだ部活に入り始めたばかりで物語の序盤も序盤の場面であるにも関わらず、軽快な台詞回しと巧みな感情表現で、読者(というか私)をぐいぐいと引き込んでいく。


雑誌を買って読むことの楽しみを久々思い出した。
コロコロを買っていた小学生の頃のように、毎月『からん』の続きが気になってしょうがない。

あぁ木村紺は天才なんだなぁとぼんやり思う今日この頃である。

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by dentaku_no_uta | 2008-11-02 02:27 | マンガ