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『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのをやめて水爆を愛するようになったか』

長いタイトルだ。
スタンリー・キューブリックの代表作の一つで、1964年公開のイギリス映画。
冷戦下、一人の狂気で始まる核戦争の恐怖と利己的かつ俗物な政治家たちが大騒ぎする様を描いたブラック・コメディ。監督最後の白黒作品。

ちなみにタイトルの『博士の異常な愛情』の原題は『Dr.Strangelove』。Strangeloveは劇中の登場人物の名前だから、正式な訳は『ストレンジラブ博士』なんだけどね。
まぁ間違いなく誤訳だけど、なかなかシニカルな邦訳で作品の雰囲気が伝わりやすいからオレ的には良いと思う。

恥ずかしながら、初のキューブリック監督作品の鑑賞だった。
キューブリック監督って、マンガで言うところの藤子・不二雄A先生のイメージなんだよね。
最大級の巨匠でありながら異端ともいうべき立場にいる存在って感じで。
まぁ見当違いかもしれないけど…(笑)

悲劇的な終末を笑いで終わらせる演出は凄いな!


結局、冷戦下の中でも核戦争の脅威って常に付きまといながらあまりリアルさを伴ってなかったんだろうね。
核投下って言われると誰もが「馬鹿馬鹿しい」とリアクションするのだもの。

でも、何だかんだ言ってもこの映画が撮られてから40年以上経つのに未だ核の脅威は消えてないわけで。
っていうか、核爆弾で滅ぶかどうかは別にしても、人類が生きてる以上核の脅威ってずっと続くような気がする。
撃たなくったって、持ってる限りこの映画のリッパー将軍みたいに妄想に取り付かれた誰かが撃つかもしれないし、もっといえば作り方が存在する以上、ずっと付きまとうんじゃないのかなぁ。


水爆の恐怖を真正面から捉えた映画としては黒澤明監督『生きものの記録』があるけど、こちらもおススメ。
こちらも“妄想”に取り付かれた男の話。
『生きものの記録』は悲劇だけど、やはり馬鹿馬鹿しさがどこか付きまとう。

キューブッリク監督は『博士の異常な愛情』を撮るにあたって、シリアスな『赤い警報』を原作にしながら「題材の観念自体が馬鹿馬鹿しい」とコメディにしたそうな。

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by dentaku_no_uta | 2008-02-17 16:31 | 映画

『モンスーン・ウエディング』

2001年製作のインド映画(アメリカ・フランス・イタリア合作)。監督はミーラー・ナイール。2001年のヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞。


インド伝統の結婚式を舞台にした群像劇。
親が持ってきた縁談で結婚することになったアディティ。父親はインド伝統の結婚式を盛大に開こうと奮闘し、世界中から親族がやってくる…。


おススメの映画。

インド映画っていうと意味も無く歌って踊るってイメージがあったんだけど、これは良いよ。
たしかに歌も踊りもあるけど、ミュージカルじゃなくて物語に自然に入ってるし。


映画の中には日本人がイメージするインドがあふれている。
服だったり、音楽だったり、街中の様子だったり、コンピューターのエンジニアだったり。
ただ、意外だったのはインド人って全員じゃないんだろうけど英語喋るんだね。インド語だと思ってたよ。


物語で主に描かれているのは
1、不倫を断ち切れない花嫁のアディティ。
2、独身の従姉の隠された過去。
3、ウエディングプランナーとアディティの家の女中の恋愛。
4、父の家族愛。

各ポイントに偏り無くスポットライトが当てられていて、奇をてらった展開があるわけじゃないけど感情移入しやすい。
特にラストの父親のカッコ良さがたまらない!劇中で一番泣ける場面だと思う!

一つ一つと絡まった糸がほどけていって迎える大円団のエンディングも明るい気持ちになれる華やかさ。


そしてインド美人は素晴らしい!(笑)女中のアリス演じるティロタマ・ショームが凄く良い感じだったよ。


誰にも勧められる良作のヒューマンドラマだったので、是非観て下さい☆。

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by dentaku_no_uta | 2008-02-10 22:29 | 映画

俺たちに明日はない』(1967年・アメリカ)
アーサー・ペン監督。


1930年代に実在したギャング、ボニーとクライドの人生を描く。反体制的な映画のムーブメント、アメリカン・ニューシネマの代表作。

正直言うとこの手の映画の主役のキャラクターって個人的にあまり好きじゃない。
自分自身の気弱な性格が原因なんだろうけど、人を殺すことに「自由」を感じられないんだよね。

まぁ一味はレンジャーに追い詰められてどんどん不自由にはなっていくけど、そういうレベルの問題じゃなくてね。
そもそも勝手気ままに悪行を重ねる人間に主義主張を述べる資格すらないと思うし。

ボニーとクライド、美化されすぎ。基本的に単なる凶悪犯でしょう。



かといって観ていてつまらないかというとそんなことは無かったよ。
暴力シーンとかもっと過激な映画なんていくらでもあるだろうけど、画面全体に荒々しい力強さがあった。

特にラストにボニーとクライドがレンジャー隊に集中砲火を浴びて絶命するところの迫力は秀逸。
飛び立つ鳥、せまりくる車、見つめあうボニーとクライドの顔が交互に映ったところでガガガガガガガッ!
実際のところは諸説あるけど、150発の弾丸が撃たれて、うち84発が直撃して死んだそうな。

まぁこれを観て、「個人は無力だ」とはオレは思えないんだよね。
自業自得じゃないか!

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by dentaku_no_uta | 2008-02-04 21:30 | 映画