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『卒業』(67・米)

監督 マイク・ニコルス
出演 ダスティン・ホフマン(ベンジャミン) アン・バンクロフト(ミセス・ロビンソン) キャサリン・ロス(エレーン) 


色んなところでパロディされてる有名な映画。自分的には昔、めちゃイケのスペシャルで武田真治と杉田かおるがやってたヤツが爆笑だった。


まぁ、とりあえずこれは美談じゃないよね…?
まず主人公であるところのベン君どうしようもないねぇ。大学時代に張り切った結果燃え尽きちゃうのは分からなくもないけど、かといって自分の好きな娘の母親と不倫の関係になっちゃ駄目でしょう。
周りのリアクションは当然だって。特に相手の父親がブチ切れるのは自明の理でしょう。娘と結婚させてくれるわけないし、
「奥さんと僕のやったことに意味はありません。握手みたいなものなんです」
なんて火に油を注ぐようなことを真剣に言っていちゃぁね。

…明らかにストーカーだし。

しかも感動のクライマックスであるところの結婚式の場面も、エレーンの婚約者がいたたまれなくてしょうがない。
せめて相手が、甘言を駆使してエレーンをたぶらかしてる最低野郎だったり、望まぬ結婚を強いられてるならまだ救いもあるけど、真面目な好青年な上にエリートで、しかも真剣に結婚を考えていたわけで。彼に一体何の非があるというのだろう。


まぁ監督は意図的にそう作ってるんだろうけど。
印象的なのは最後の最後だね。協会の十字架を振り回して、エレーンを強奪。二人で走ってバスに乗る!
で、二人で並んで座っているシーンがラストなんだけど、何か終止ヘラヘラしてるベンの横に座るエレーンの顔からフッと笑顔が消えるんだよね!
いやぁ上手いね!
「これで良かったのかな…?」
って感じが凄い出てる。

このシーンは「OK」出した後までカメラを回し続けるように監督が指示を出した結果出来たらしいんだけど、あのエレーンの顔があったからこそ『卒業』は名作なんだと思うんだよね。

これから観る人は是非注目してくださいな。

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by dentaku_no_uta | 2008-04-17 22:27 | 映画

『よくわかる現代魔法』シリーズ

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桜坂洋のライトノベル作品。集英社スーパーダッシュ文庫で既刊5巻。一段落ついてから3年弱新刊が出てないが、まだ続くらしい。


タイトルは巻末についてた宣伝のページのキャッチフレーズからいただきました。

まぁアキバ系といっても泉こなた的なのがワラワラ出てくるわけじゃなくて、電気街としての秋葉原を全面に出した作品。
基礎となる設定が、「人間の肉体もコンピュータのCPUも同じく電気の流れる物体である」ことを前提として成り立っている。
つまりコンピューターのプログラミングで魔法を使うのが“現代魔法”という設定。コンピューターでは人間のような複雑なコード(プログラム)を組み立てることは出来ないが、同じコードをエンドレスに実行できる物量作戦が可能という利点がある。
ちなみにドラクエ的な魔法は“古代魔法”と呼ばれていて、効率が悪いため科学に取って代わられており絶滅寸前。

作者の桜坂洋は元システムエンジニアで、ゲームを含むコンピューター全体が趣味らしい、っていうか作品を読めば一発で分かる。
出てくるキャラクターが思いっきり作者の妄想を反映しているようで凄く良いと思うよ。
あとがきで自分がつくったキャラクターを「たん」づけで呼んでみたりするなかなか愉快な方です。

作中に突然
「そうだ。エミ。嘉穂は思い出した。彼女の名前は小野寺笑だったはずだ。たいした知り合いではない。(中略)ただ人工知能を搭載した伝説の十八禁ゲームに出てくるヒロインと同じ名だったので、嘉穂の記憶に彼女は鮮明に刻み込まれていたのだった。(4巻、30ページ)」
とかしれっと書いてあるから笑ってしまう。

他作品も自らのオタク嗜好をプッシュしたものが多くてかなり独特な世界観を持つ。2005年にハヤカワ文庫から出版された『スラムオンライン』もネットゲームを題材にした青春小説だったしね。
思い返せば昨年の11月。しばらく漫画ばかり読んでる。活字も読まねば、と思い本屋に行って手に取ったのが『スラムオンライン』だった。
自分の活字離れを止めた作品の作者ということで桜坂洋には実は結構思い入れがある。


『よくわかる現代魔法』シリーズは作者のデビュー作であると同時に唯一のシリーズもの。っていうかまだ全部で7冊しか著作がなく、そのうち5冊がこのシリーズなんだから占める割合はかなり大きい。

1巻ではまだまだ全体的に上手くないけどね、2巻以降はかなりレベルアップしていった感がある。300ページあった分量も2巻以降は200ページちょいと相当コンパクトな仕上がりになっていて読みやすいのも良い。
魔法を使った戦闘シーンがイメージが沸きやすい極めて視覚的な描写が多いのも特徴的(あるいはラノベ全体の傾向なのか?)。

最初は驚くほど目立たなかった主人公の森下こよみも3巻くらいになると随分とキャラ立ち。


シリーズ通してもっとも印象が強いのが3巻かな。
魔法で6年前の世界でプログラムのパスワードの手に入れるためにヴァーチャルリアリティの世界に森下こよみが飛ぶいわゆるタイム・パラドックスものなんだけど、これが凄いんだよね。

普通のタイム・パラドックスものと違って過去と未来がループしてるんじゃなくて、虚構の世界と現実がループしてしまっているんだもの。つまりここには現実世界も他の世界から観たヴァーチャルな世界でしかないという衝撃の事実が内包されていると思われ。
作中ではそれについては語られないけど、なかなか普通じゃない設定だよね。


締めとなった5巻もよかったな。
秋葉原を舞台にした魔法対戦。桜坂洋大爆発みたいな(笑)。
ラストはもう力技としか言いようの無い強引な方法で幕を下ろしたけど、物語り自体は面白かった。

新潮文庫刊の「七つの黒い夢」っていうオムニバスで番外編が書かれているくらいで新刊の情報なしっていうか単行本自体が3年近くとまったままになっている。別に引退したわけではないみたいなので、早く新作が出ることを願うばかり。


余談だが、『よくわかる現代魔法』シリーズのイラストを担当した宮下未紀もかなりレベルアップしている。表紙からだとよく分からないが、挿絵は別人のようになった。

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by dentaku_no_uta | 2008-04-11 00:09 | ライトノベル

『12モンキーズ』

人類の99%が謎のウィルスで死滅した2035年の世界から原因を探るために1996年へと送られた囚人がキーワード“12モンキーズ”を追いかけていく話。

痴豚様こと伊集院光氏が大好きだという映画監督テリー・ギリアム(ちなみに私が敬愛するマンガ家・冬目景氏も好きな映画監督の中に上げている。)の1995年の作品。

これは…面白い!完璧だぁ。

ブラッド・ピットの怪演がインパクト強し。

物語の前半からだと未来に人類のほとんどが死滅して云々のところが妄想なんじゃないかと思わせる展開。
1996年に送られるはずが1990年に間違って送られたブルース・ウィリス演じるジェームズは逮捕された挙句、精神病に監禁されてしまう。
この逮捕されるところがすっぽり抜けて精神病にいるところに場面が跳んでいることと、精神病院の面談の様子が未来の刑務所での面談とリンクしていること、そして未来の世界が妙に現実感を欠いていることから、現実がどっちなのか観ていても判断が出来ない。

後半にはいるところのワンカットでジェームズの証言がホントな事が分かるんだけど(ここがまたうまい!)、ここから逆にジェームズが自分の証言を疑い始めてしまう。
あまりに絶望的な未来から逃れるために、“辛い現実から逃れるために未来の世界を救うという妄想を描いている”という妄想の世界を造り上げていこうとするジェームズ。
真相に気付いてしまった精神科の女医キャスリンは、逆に妄想に取り付かれているかのような扱いを受けてしまう。
真相は一つであるにも関わらず、常識が邪魔をしてなかなかそこにたどり着けなくて、観ていてどうなるのかがまったく予想できないんだよ。
物語の醍醐味はまさにこれだ!ってくらい面白い。

物理学者ホーキングは「未来から訪問者が我々の世界に押しかけてきていないことが、タイムマシン理論が有り得ないという証拠である」と語っているけど、必ずしもそうでもないような気がしてきたよ。
一体誰がそれを信じるというのだ、ということなんだよね。

仮に自分が突然過去に飛ばされたとして、誰かが自分の話を信じてくれるとは思えない。未来の世界のことを細かく喋ることは出来ても、自分はインターネットどころかテレビも電話もどんな理屈で動いているのか知らないんだから、普通の感性の人は妄想としてあつかうだろうよ。


して、物語は後半。次から次へと伏線を解消していく怒涛の展開。見事などんでん返し!そして予告されていたエンディングへ!!
うぉぉぉ!と叫びたくなるくらい作品にのめりこんでいた。

パラドックスは生じない、何故なら彼は起こることを知らなかったのだからー。

絶望的なエンディングではあるけどね。最高に楽しかったよ。

映画でも小説でもマンガでもアニメでも、まだみたことのない素晴らしきものが死ぬほど残っているんだなぁと最近つくづく思うよ。
やっぱり“物語”は素敵だ☆(笑)

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by dentaku_no_uta | 2008-04-08 00:02 | 映画