『モンスーン・ウエディング』

2001年製作のインド映画(アメリカ・フランス・イタリア合作)。監督はミーラー・ナイール。2001年のヴェネチア映画祭で金獅子賞を受賞。


インド伝統の結婚式を舞台にした群像劇。
親が持ってきた縁談で結婚することになったアディティ。父親はインド伝統の結婚式を盛大に開こうと奮闘し、世界中から親族がやってくる…。


おススメの映画。

インド映画っていうと意味も無く歌って踊るってイメージがあったんだけど、これは良いよ。
たしかに歌も踊りもあるけど、ミュージカルじゃなくて物語に自然に入ってるし。


映画の中には日本人がイメージするインドがあふれている。
服だったり、音楽だったり、街中の様子だったり、コンピューターのエンジニアだったり。
ただ、意外だったのはインド人って全員じゃないんだろうけど英語喋るんだね。インド語だと思ってたよ。


物語で主に描かれているのは
1、不倫を断ち切れない花嫁のアディティ。
2、独身の従姉の隠された過去。
3、ウエディングプランナーとアディティの家の女中の恋愛。
4、父の家族愛。

各ポイントに偏り無くスポットライトが当てられていて、奇をてらった展開があるわけじゃないけど感情移入しやすい。
特にラストの父親のカッコ良さがたまらない!劇中で一番泣ける場面だと思う!

一つ一つと絡まった糸がほどけていって迎える大円団のエンディングも明るい気持ちになれる華やかさ。


そしてインド美人は素晴らしい!(笑)女中のアリス演じるティロタマ・ショームが凄く良い感じだったよ。


誰にも勧められる良作のヒューマンドラマだったので、是非観て下さい☆。

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# by dentaku_no_uta | 2008-02-10 22:29 | 映画

『第六大陸』

最近、小川一水の小説にはまってます。
まぁまだ読み始めてからそんなに経ってないから、4作品のべ9冊しか読んでないけど、今日はその中の1作から。


個人的に小川一水の魅力は①アイディアレベルでの差別化②徹底的に描かれたデティールにあると思ってる。

基本的にSFを舞台に、人とは若干違う視点で物語を書くんだよね。
それにとにかく科学技術の描写が細かい!その正確さは文系の自分にゃ分かりもしないけど、こだわって創ってある感じがとてもいいと思う。


で『第六大陸』はどんな話かというと、2025年から10年計画で建設会社、レジャー企業、民間のロケット会社が月に結婚式場を作ると言うお話。

小川一水はジュブナイル小説もたくさん出してるけど、この作品は一般にハードSFに分類されている本格派。

世界一の技術力を誇る後鳥羽創建、画期的な新型エンジンのアイディアがありながら資金不足で実現できない天竜ギャラクシートランス社が真の目的がイマイチ分からない依頼主のエデン社とともに壮大な計画に挑んでいくプロジェクトX的な展開が熱い☆。

最初の中国の月面有人基地の視察からはじまって、6分の1の重力下での想定されるさまざまのシチュエーションが物語に織り込まれていて、まぁ細かい細かい!
このリアルさが良いんだよね!


ちなみに主人公は後鳥羽総建の技術屋・青峰走也とエデン社の会長の孫娘・桃園寺妙の二人。
物語の冒頭では13歳だった妙はエンディングでは24歳にまで成長。最初は萌えキャラみたいだったのにもラストではすっかり幼さも消えた大人に…。


自分的には圧倒的な資金とノウハウを持つNASAとの直接対決とか初の死亡事故あたりが読み応えがあって好き。



全体的にバランスもいいし、好きな小説の中なんだけど、物語設定の緻密さに比べて人物にあまりリアリティーが感じられないのがやや難かな。
個性あるキャラクターがステレオタイプにはまっててどこか漫画的なんだよね。
特に桃園寺一家のキャラ付けが気になった。

同じくハードSFに分類される『導きの星』ではそこまで気にならなかったんだけど、設定だけじゃなくて物語自体がリアルになっている分だけ、よりキャラクターが浮いちゃってると思う。


まぁそうだからこそドラマチックな展開になってるって一面もあるだろうから一長一短なところではあるんだけど。


とりあえず、『第六大陸』と並ぶ代表作『復活の地』は遠からず読むつもり。
こちらは他の惑星での災害復興物語。楽しみです。

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# by dentaku_no_uta | 2008-02-10 00:24 | 小説

『BLOW UP!』
細野不二彦。1988~89年掲載。全2巻。

プロのジャズ・ミュージシャンを目指して大学を辞めた菊池青年が下積み時代を終えるところまでを描く作品。
読みたい読みたいと思いながら代表作『ギャラリー・フェイク』も読んだことない細野不二彦作品、昔の比較的短い作品を選んで読んでみた。

いやぁ良かったよ。良い漫画だった!

自分はジャズに興味があるけど、知識はゼロだから、ジャズ・バーで話題に上るミュージシャンの名前も作中で使われる曲も何にも分からなかったけど、やっぱりドラマ部分がしっかりしてるからはまり込めた!

物語は基本的に1話完結式で、菊池が色んな人と知り合って、色んな仕事をして才能を開花させていくまでを描くんだけど、
その知り合う人は大物ミュージシャンだったり、売れないミュージシャンだったり、アイドルだったり、果てはヤクザまで。

みんな大なり小なり影響を与えていくんだよね。

特にバイト仲間の冴えない小田さんが凄く良かった。
お金を貯めてばっかりで、馬鹿にされている小田さん。実は陰でメチャメチャ努力していて、貯めたお金で本場ニューヨークに単身旅立っていく。

「もしかすると実際に夢を生きているヤツほど 夢を語らないものなのかも…な…」
小田さんのニューヨーク行きに関して、上司が菊池に言ったセリフより。

大きいコト言う人ほど口先だけだったりするんだよね。自分も気をつけなければ…。


華やかさは全然ないけど、愚直なまでに自分の決めた道を進んでいく菊池。
最初は緊張して失敗をしていた彼が、仲間とともに堂々と大観衆見守るステージに立つ姿は感動的だよ。
「自分の生まれた場所より、一歩でも遠くへ!」

ジャズを聴いてみたくなると同時に、自分のいるところで努力しようと思える漫画だと思う。

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# by dentaku_no_uta | 2008-02-07 02:12 | マンガ

俺たちに明日はない』(1967年・アメリカ)
アーサー・ペン監督。


1930年代に実在したギャング、ボニーとクライドの人生を描く。反体制的な映画のムーブメント、アメリカン・ニューシネマの代表作。

正直言うとこの手の映画の主役のキャラクターって個人的にあまり好きじゃない。
自分自身の気弱な性格が原因なんだろうけど、人を殺すことに「自由」を感じられないんだよね。

まぁ一味はレンジャーに追い詰められてどんどん不自由にはなっていくけど、そういうレベルの問題じゃなくてね。
そもそも勝手気ままに悪行を重ねる人間に主義主張を述べる資格すらないと思うし。

ボニーとクライド、美化されすぎ。基本的に単なる凶悪犯でしょう。



かといって観ていてつまらないかというとそんなことは無かったよ。
暴力シーンとかもっと過激な映画なんていくらでもあるだろうけど、画面全体に荒々しい力強さがあった。

特にラストにボニーとクライドがレンジャー隊に集中砲火を浴びて絶命するところの迫力は秀逸。
飛び立つ鳥、せまりくる車、見つめあうボニーとクライドの顔が交互に映ったところでガガガガガガガッ!
実際のところは諸説あるけど、150発の弾丸が撃たれて、うち84発が直撃して死んだそうな。

まぁこれを観て、「個人は無力だ」とはオレは思えないんだよね。
自業自得じゃないか!

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# by dentaku_no_uta | 2008-02-04 21:30 | 映画

初のブログです。

記念すべき第1回は『ポーの一族』

『ポーの一族』は1972年から1976年に連載された少女マンガ界の巨匠・萩尾望都(はぎおもと)の代表作。
図書館で借りて読んだんだけど、めっちゃ面白かったよ。

どんな内容かというと、要はバンパネラ(ヴァンパイア=吸血鬼)の少年エドガーのお話。

少年といっても、見た目が少年なだけで実年齢は200歳以上!
物語は、エドガーとエドガーによって吸血鬼になったアランが時を越えて様々な人々と関っていく形で展開されていくんだけど、
ポイントは“時を越えて”というところ。
1757年に吸血鬼になったエドガーが1976年までの激動の時代を少年のままの姿で生きていく悲哀が最大の魅力。

しかも、時系列が崩された構成なうえに、話によってはエドガーと関った人が後々に不思議な思い出として語る展開になっているからエドガーの存在自体がかなり幻想的なものとして描かれているのも面白い。

200年を超えて全てがひとつにまとまっていくラストは圧巻!!


一番印象的な場面はタイトルと同じ『ポーの一族』で最愛の妹・メリーベルが撃たれて消滅しちゃうところかな。
あそこからエドガーの永遠に続く孤独が始まるわけで、物語の始まりとも言うべきところじゃないだろうか。


ちなみに1976年というのは最終話が掲載された年なわけで、読者と同じ時代をエドガーも生きていることを示して終わりってことだよね。
もはや30年もたってるから気づかなかったけど、この手の演出は個人的にはかなり好きです。


図書館には萩尾望都全集がそろっているみたいだった。嬉しい限り☆。

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# by dentaku_no_uta | 2008-02-02 01:13 | マンガ