スカイクロラ
超低ヒットブログ、4ヶ月ぶりにご帰還。「待ってねぇよ」の大合唱。
先日、押井守監督最新作『スカイクロラ』を観てきた。
方々で貶されたり褒められたりしてる当作品。個人的には凄く良かった。というか、ここしばらくに観たアニメ映画の中では一番のお気に入りだったり。
「つまらなかった」という人のほとんどの言い分としては「わけわかんねぇよ!」っていうとこが大多数をしめてると思うんだよね。
えぇまぁでっっっかい「?」が常時出ているような状態でしたよ。
言いたいことがあるのはわかるんだけど、何が言いたいのか分からない笑。
テーマは「戦争」?それとも「子供」?
両方とも劇中で何度か強調されていたけど、よくわからない笑。
ただ原作に忠実な流麗な台詞回し、大迫力の戦闘シーン、象徴的・官能的な映像に圧倒されて、それだけで十分お腹いっぱい。
とりあえず分からなかったなりに考察を。
一、ミズキについて
父親はジンロウですよね?“ティーチャー”という説もあったみたいだけど、自分はジンロウだと思う。
娼婦のフーコが「スイトが昔、自分の客を奪って何時間も出てこなかった」ということを言っていたけど、ジンロウはフーコの客だったんだから、この時のスイトの相手がジンロウで、妊娠したと考えられる。
だからこそ、ジンロウの生まれ変わりであるユーイチにミズキは懐いていたのではないだろうか。
大人にならない母親を娘はどう思っているんだろう。
劇中、ミズキの手をとるスイトの画がアップで出るシーンがあるが、あのカットにスイトの母性が出ているようで面白い。
スイトにはミズキを大切にする母としての想いがあるにも関わらず、自分は永遠に若いままであり、いずれミズキは自分より大人になってしまう。それがスイトをより圧迫して追いつめていっているのだろう。
二、“ティーチャー”について
ショーとしての戦争のバランスをとるために存在する絶対に倒せない敵。唯一の大人のパイロット。
何故にスイトとユーイチは無謀な突撃を仕掛けたのか?これは“ティーチャー”を越えていくことに意味を見出していった結果であると考えられる。
永遠に変化のない生活を送り続けるキルドレ。“絶対の存在”という無変化の象徴であり、大人である“ティーチャー”を撃破、乗り越えていくことで“変わらない”という運命をも打ち破ろうとしたのではなかろうか。スイトは自分、あるいはミズキのために。ユーイチはスイトのために。
三、キルドレについて
他の基地のエースパイロットであるミツヤはキルドレのことを「空で死なない限り何度も生まれ変わるらしい」と説明していた。しかし撃墜された湯田川は即転生して帰ってきてくる。ここまででは撃墜された後、海に沈没して死んだから、空では死んでいないという解釈もできるが、さらにエンドロール後、明らかに戦闘機内で撃たれて死んだはずのユーイチが転生したことを意味していると考えられるシーンが示される。
これは何を意味しているのか?おそらくミツヤが信じていた情報に誤りがあり、キルドレは何があっても人生を終わりにすることが出来ないということか。
もしそうならば、あたかも鳴り止まないスイトの部屋のオルゴールのように、キルドレはひたすら変わらない人生を歩み続けなければならないということになる。
救いのない解釈であるが、ジンロウ=ユーイチとの出会いから運命を打ち破ろうとするスイトの、ラストの顔が希望を示しているという風に自分は考えたい。
まぁこんなとこでしょうか。書きながら頭を整理してみました。
自分が印象に残ったシーンはスイトが口紅をつけてユーイチの前に現れるところと、ネクタイを取るスイトの姿でしょうか。何かエロかったです笑。
他、部屋に入る陽、ランプの明かり、娼館の部屋の明かりとかそういった光源が印象的でした。
押井監督の作品なんで正直かなり難解。ただ見ていても何も分からないし、ある程度物語のアウトラインを理解するにも原作を読むのは必須だと思います。
映像化しにくい原作を、ラストを除いて忠実に映像化した監督の能力はホントに神懸ってますね。
そのままの流れで上映されていた『攻殻機動隊』の再編集版を鑑賞。一日二度目の押井作品に脳の容量を遥に超過。、思いっきり気持ち悪くなりましたとさ。…楽しかったんだけどさ。