『DRUG-ON』をアニメ化してくれたもう!
斎藤岬という漫画家をご存じだろうか。
斎藤先生は1995年にデビューして以来、コミックバーズ(デビュー当時はコミックバーガー)及びその姉妹誌にて看板作家として活躍し続けている漫画家である。
『退魔針(原作/菊池秀行)』、『死神探偵』シリーズ、『ひなたの狼』、そして連載が終了間近の『DRUG-ON』と常に良作のエンターテイメント作品を描いているにも関わらず、バーズというあまりにもマイナーな媒体に掲載されているがゆえに、ヒットに恵まれていない感がある。
『DRUG-ON』が今月30日発売のバーズにて最終回を迎える理由も、どうやら幻冬舎が望むレベルの売り上げを単行本が出せていないらしく、新連載に切り替えることになったということらしい。
遠からず再開したいとは作者は言っているものの、以前連載していた新撰組を題材にした『ひなたの狼』も芹沢討伐で第1部を終えてから再開の見込みは立たず、姉妹誌で掲載中に休載となった『死神探偵』シリーズは再開に何年もの時間を費やすことになった。
これは必ずしも編集側が全ての責任を負うものでもなく、作者自身の原稿制作のスピードの影響を含めてのものでもあるそうだ。
しかしながら、あらゆる作家が原稿を落とすか休載を細かく挟むという状態のバーズにおいて、少なくとも私が雑誌を買い始めてからの1年半の間、一度も休むことなく、加えて表紙を隔月くらいのペースで斎藤先生が担当しているのであるから、描くのが特別遅いとは思えないのだが。
さて、『DRUG-ON』。
不思議な力を宿す泉を守る「狩者」テイカーたちの戦いの物語である。
画力・シナリオとバランスよくハイな技巧を持つ作者の作品であり、こんなにアニメ化しやすいものもないと思う。
テイカーには、パートナーとなる「従者」バレットという存在がおり、コンビで基本的に行動する。バレッドは、テイカーの肉体を原料に錬金術で人間に仕立て上げた不可思議な存在であり、バレッドはテイカーにとって「分身であり、娘であり、妻」(男目線、逆も然り)にあたる。
カイとアリス、ジャックとドロシー、ジルとピーターの3組のコンビが魅力的であり、その戦闘もかっこいい。
自分は斎藤先生の作品の中で、このマンガが一番面白いと思う。
であるがゆえに、全てを解決せずに最終回を迎えるであろうことはとても寂しいなぁ。
再開できなければ、同人ででも続ける意向を作者が示しているのが救いだよ。さすれば、まだ行ったことないコミケでもコミティアでも行こうぞ。
もし、斎藤先生を何らかの事情ででも放出することになれば、その時がバーズの終りの時になるような気がする。
冬目先生、PEACH-PIT先生、山田章博先生…。バーズコミックの単行本の売り上げと認知度向上に貢献したマンガ家は少なくないけど、雑誌に対する最大の功労者はやっぱり斎藤先生なのではないだろうか。
せめて、もう少しメジャーに!