冲方丁のアニメ1~ヒロイック・エイジ~
『ヒロイック・エイジ』は2007年に放映されたTVアニメ。2004年のヒット作となった『蒼穹のファフナー』のスタッフが再結成する形で制作された。
昨年1月に『マルドゥック・スクランブル』(ハヤカワ文庫JA)を読んで以来、冲方さん大好き!なんで、マルチに活動する小説家の冲方丁が関係したモノは全部読もう、観ようと思っていた。
シナリオに関与したTVアニメは3作。
『蒼穹のファフナー』『ヒロイック・エイジ』『シュヴァリエ』。
『ファフナー』に比べてかなり認知度も人気も低い雰囲気だけど、こちらもめちゃめちゃ面白かった。
はるかな未来、宇宙に進出した人類は、先に宇宙に進出した『銀の種族』に滅ぼされようとしていた。人類の若き王女ディアネイラは、戦闘母艦アルゴノートにて、人類の最後の希望=ノドスを捜索し、ついに見つけ出す事に成功する。人類のノドスであるエイジは、『銀の種族』を退け、人類を救う事ができるのか?(Wikiより抜粋)
何といっても冲方作品の魅力は、ピンチに誰かが助けに来たり、死を覚悟で頑張ったりする熱すぎる展開と、超緻密に練られたシナリオである。
ラストに「は?」となることなく「観てよかった~」と思わせてくれる。(『ファフナー』のラストは賛否両論だったらしいが、私は素晴らしかったと思う)
『ヒロイック・エイジ』も、伏線を次々に回収していった後に、あのエンディングはもう泣くしかないでしょう。
作品としてはSFの形態をとっているけど、実質的には神話だったと考えられる。
モチーフは多分ギリシャ神話。
そもそもの基幹設定となっている「黄金の種族」「銀の種族」「青銅の種族」「英雄の種族」「鉄の種族」はギリシャ神話の用語のはずだ。
エイジのモデルは、体に宿す英雄の種族の名前がベルクロスであることから、音の近いヘラクレスだと思う。。
他にもヒロインのディアネイラはヘラクレスの奥さんの名前だったり、宇宙船アルゴー・ノートも同様であり、他にも気付いてないだけで一杯ありそう。
実質的に全能の“神”を表していた「黄金の種族」。
「黄金の種族」と同じ世界へと旅立っていった「銀の種族」さらにはディアネイラもまた“神の領域”へと到達したんじゃないかなと。
ディアネイラが不在となる世界は再び神の時代が終わり、人類がさらなる発展を目指して進んでいくことになる。
そういった神話的な意味合いをエンディングで感じた。
シナリオだけじゃなくて、『コードギアス』みたいにイキりすぎて、つい笑っちゃうような演出を避けてるのも『ファフナー』同様のスタッフの良さだと思う笑。
正直『ファフナー』よりも『ヒロイック・エイジ』の方が好きだなぁ。タイトルにめげずに観て欲しいっす。
まだ観てないアニメの『シュヴァリエ』は好きなアニメ『KURAU』と同じ人がキャラクター・デザインしてるみたいで楽しみなことこの上なし。